結局、昨日、を見つけられなかった忍足は、今日、青学に行ってみようと思っていた。
忍足 「はぁ〜・・・。」
しかし、そうは思っていても、気分は落ち込むばかりだった。
向日 「どうしたんだ、侑士。」
忍足 「それがな・・・。」
忍足は、昨日帰ってきて、起きたことを全て話した。
芥川 「大変じゃん、それ!」
鳳 「ホント、芥川さんの言うとおりですよ!」
樺地 「ウス!」
いつの間にか、部活仲間が集まっていた。
日吉 「でも、青学に行ってみるんでしょう?青学なら、必ずいるじゃないですか。」
宍戸 「もし、青学にも、いなかったら・・・。」
滝 「宍戸、縁起でもないこと言わないの。」
すると、そこに、の居場所を知る、跡部がやって来た。
跡部 「なら、無事だぞ。」
忍足 「跡部!なんか、についての情報、知ってんのか?!」
跡部 「当たり前だ。なら、俺の家にいる。まぁ、今は青学に行ったが。」
・・・・・・・・・。
忍足 「え〜っと・・・。それは、なんの冗談?」
跡部 「冗談じゃねぇよ。なら、証拠見してやるよ。」
そう言って、跡部は携帯で電話をし始めた。
忍足 「電話なら、昨日から、俺がしてるけど、全然通じひんで?」
跡部 「・・・・・・。・・・、俺だ。」
忍足 「通じてるし!」
跡部 「・・・いや、忍足が少し、しゃべりたいんだとよ。・・・・・・・・・。・・・まぁ、少しぐらい話してやれよ。」
そう言うと、跡部は忍足に携帯を渡した。
忍足 「?大丈夫か?跡部ん家にいるっていうんは、ホンマなん?何にも、されてへんやろうな?」
『侑兄、探すな、って書いてあったやろ!』
携帯の向こうから、の声がして、忍足は安心した。
忍足 「でも、が心配で・・・。」
『だから、そうやって、うちをガキ扱いせんといて!それに、跡部さんのことを悪く言わない!何もされてへん。っていうか、侑兄より優しいし、うちのこともガキ扱いせーへんし、跡部さんの方が、よっぽどえぇわ。』
忍足 「そんな・・・。なぁ、。俺、ガキ扱いせーへんし、帰ってきてくれへんか?俺、淋しくて、死んでしまうかもしれへん・・・。」
『いつから、侑兄はウサギになったん?とにかく、今は帰る気は、全くありません。しばらくは、跡部さんの妹になります。』
忍足 「なんやてー?」
『そろそろ、景兄に換わってくれへん?』
忍足 「け、景兄・・・?!」
『換わってくれへんの?・・・せっかく、メールはしよかな、って思ったのに。』
忍足 「あ〜、換わる!換わる!」
忍足は、大急ぎで跡部に携帯を返した。
跡部 「あぁ。・・・・・・・・・。わかった。じゃあ、も頑張れよ。」
そう言うと、跡部は携帯を切った。
忍足 「どういうことや、跡部・・・?」
ギャー!忍足(さん)のうしろに、黒いオーラが・・・!まるで、青学の・・・。(跡部・忍足以外全員。最後は自主規制。)
跡部 「どういうこと・・・?聞いただろ?昨日からは、俺の妹になったんだ。」
忍足 「は、俺の妹や。・・・・・・跡部、に手出したら、どうなるか、わかってるんやろうなぁ?」
跡部 「どうなるんだ・・・?」
このままでは、朝練が出来なくなる(その前に死人が出るかもしれない)と思った、レギュラー陣は、2人をどう止めるか、考えた。
鳳 「で、でも!跡部さんの家なら、防犯システムとかがあって、安全そうですよね!」
忍足 「防犯システムは、外からのしか、防げへんやろ。跡部は、中にいんねんから。」
跡部 「あぁ?」
ヤ、ヤバイ!(跡部・忍足以外全員)
向日 「い、家の中にも防犯カメラとか、ついてたら、大丈夫なんじゃねぇの?」
忍足 「どうやろうなぁ。」
もう、止められないのか、とレギュラー陣が諦めかけた時、忍足の携帯が鳴った。
件名 約束どおり、メールした
本文 これから、1日3回だけメールする。それ以上はしないから
からのメールだった。
忍足 「ー・・・!」
忍足は、からのメールで、ひとまず落ち着いたらしい。
宍戸 「から、なのか?じゃ、返事返しとけよ!」
忍足 「そうするわ!」
セ、セーフ・・・!(ちゃん・さん)、ありがとう!(跡部・忍足以外全員)
ようやく、落ち着き、朝練が開始された。
〜放課後〜
忍足 「岳人。俺、図書館行くし、部活休むって、跡部に言うといて。」
向日 「あぁ。・・・青学に行ってみるんだな。」
忍足 「当然や。、たしか、今日は図書委員の仕事がある日やったと思うねん。そやから、青学の図書館に行くし、嘘とちゃうやろ?」
向日 「あぁ!そうだな。」
いや、それは嘘だろ・・・、とは言えない向日であった。
一方、青学では・・・。
越前 「つまんない。」
「そんなこと言わない・・・。うちだって、おもしろくないで?」
越前 「でも、は自分から、図書委員に立候補したじゃん。」
「それは、本が好きやから。こんな仕事がやりたくて、立候補したんとちゃうし。そう言う、リョーマ君だって、立候補したやん。」
越前 「俺だって、と同じ委員がよかったから、立候補しただけ。こんな仕事はしたくなかったし。」
「まぁ、文句言っても仕方ない!一緒に頑張ろう?」
図書館で、1年2組の越前とがカウンターの仕事をしていた。
越前 「って言っても、何もすること無いけど。」
カウンターの仕事、と言っても、人が来なければ、仕事は無いので、ヒマなのである。
「はぁ〜・・・。この時間が勿体無い。早く、部活行きたいー!」
越前 「さっき、文句言っても仕方ない、って言ってたの、誰?」
「はい。私です・・・。じゃ、いつもどおり、しゃべっときますか?」
越前 「それ以外に、すること無いしね。」
越前は、クラスも部活も一緒だが、2人きりになれる機会なんて、滅多に無い。(不二達が阻止するので。)だから、越前にとっては、この時間はと「仕事をするための時間」ではなく、「2人きりになれる時間」だったのだ。
さて、氷帝に戻ってみよう。
今、向日が跡部に、忍足のことを言い終えたようである。
跡部 「図書館・・・?・・・・・・どこの、だ?」
向日 「氷帝じゃねぇの?」
向日は、(一応)親友の忍足を、かばっているようだ。
跡部 「・・・・・・青学か。」
向日 「なんで、青学なんだ・・・?」
跡部 「さっきまで、俺が氷帝の図書館にいたけど、忍足の姿なんか見てねぇんだよ。」
向日 「うわ〜!侑士、ダセェ!」
跡部 「とにかく、俺は連れ戻しに行ってくる。その間、自主練だ。」
向日 「お、おい!」
跡部 「サボったら、メニュー、倍にするからな。」
向日 「・・・・・・行っちまった・・・。」
もう一度、青学に行ってみよう。
「ハハハ・・・!オカシイよなー・・・!」
越前 「まぁ、あの人は、そういう人だから。」
「たしかに!」
なにやら、越前とが楽しそうに話している。
越前 「そういえばさ、朝練の時に言ってたこと、ホントなの?」
「・・・・・・家出・・・したこと?」
越前 「それと、跡部さんの家に住んでる、って話。」
はっきり言って、越前には家出したことより、今はどこの家に住んでいるのか、の方が重要なのだ。
「ホンマやで。」
越前 「また、なんで・・・?」
「だって、侑兄はうちのことを、ガキ扱いすんねんもん。この前も、侑兄のいない間に勝手に、人を上げただけで怒るし・・・。しかも、その人達は侑兄の友達やのに!」
・・・俺でも、怒るかも。(越前)
越前 「で、なんで跡部さんの家なわけ?」
「侑兄の友達を勝手に上げた時に、跡部さんがいて、そん時に侑兄が跡部さんのことを、『危険』とか『恐い』とか言って、失礼やから、謝りに行って・・・。で、跡部さんに家出したことも話したら、泊まっていけ、って言ってくれたから・・・。」
越前 「へぇ〜・・・。・・・兄貴は心配してないの?」
「するな、とは言ったけど、してると思う。さっきも淋しくて死ぬ〜、って言ってたし。まぁ、ウサギじゃないからね。それに、メールもしてるし。」
俺は、ウサギだね。まぁ、専用のだけど。(越前)
越前 「メールだけ・・・?」
「うん。しかも、1日3回以上はしない、という条件付!」
越前 「それ、辛いと思う。」
俺だったら、無理。(越前)
「そう?じゃあ、それでも耐えてる侑兄は、反省してんかなぁ?」
越前 「たぶんね。」
の兄貴、よく耐えてんなぁ・・・。そこは、尊敬。(越前)
“♪♪♪”
の携帯が鳴った。
「あっ、侑兄からや。そろそろ帰る、ってメールしてあげようかな。って早いな。・・・・・・・・・。・・・はぁ?やっぱ、反省してへん!」
メールを読み終えると、はカウンターの机の下に隠れた。
越前 「何してんの・・・?」
「リョーマ君。うちは、いないことにして・・・!」
越前が、必死に隠れようとしている姿もかわいいなぁ、と思って見ていたら、誰かが、今、自分の目の前にいる、愛しの彼女の名前を呼んで、図書館に飛び込んできた。
忍足 「ー!」
越前 「あの・・・。ここ図書館なんで、静かにしてくれません?」
忍足 「君・・・。越前・・・やんな?は、どこや?」
それは、愛しの彼女、の兄の、忍足 侑士だった。
越前 「今日は、休みっス。」
忍足 「兄妹やねんから、学校に行ってることぐらい、知ってんで。」
越前 「って、家出したんでしょ?」
忍足 「・・・そこまで、知ってんのか。ほんなら、跡部の家に泊まってるっていうのも、知ってるんとちゃう?」
越前 「知ってるっスけど。」
忍足 「跡部が、学校に行った、って言うてたんや。」
越前 「早退したんスよ。」
今、忍足も越前も必死である。お互い、を譲りたくないから。・・・まぁ、この有様を部長の手塚と跡部が見たなら、こう言うだろう。「部活に必死になれ。」と。
忍足 「しゃーないなぁ・・・。」
そう言うと、忍足は後ろを向いた。
“♪♪♪”
忍足が来る前に鳴った曲と、同じものが流れた。
忍足 「オカシイなぁ。は、いーひんハズやのに、携帯が鳴るなんて・・・。」
そう。忍足はの携帯に電話したのだ。
越前 「今のは、俺のっス。」
そう言って、越前は自分の携帯を鳴らした。それは、さっき鳴ったものと同じだった。
忍足 「なるほど。と同じのにしとる、わけやな。」
越前 「まぁね。」
忍足 「クラスも、部活も、委員も同じ越前には、それくらい容易いっちゅうことか。」
越前 「ちなみに、席も隣。」
忍足は、ため息をつき、カウンターの近くの席に腰掛けた。
忍足 「まぁ、えぇわ。ここが閉まるまで、本でも読んどくし。それで、がいーひんことがわかったら、帰るわ。」
越前 「ここ、他校生は使用禁止。」
忍足 「そう硬いこと、言わんと。まぁ、と少しでもしゃべれたら、すぐ帰るつもりやってんけどなぁ・・・。」
「じゃあ、すぐ帰ってくれる?」
そう言って、がカウンターの下から、出てきた。
忍足 「!久しぶり!会いたかったで。」
久しぶり、って・・・。1日も経ってないハズだけど・・・。(越前)
「リョーマ君。ありがとう。それから、もう1つ頼みごとが、あるんやけど・・・。」
越前 「なに?」
「しばらくの間、1人で仕事してて?まぁ、大変な仕事は無いと思うし・・・。今から、侑兄を怒って、ここに来たこと後悔させるから。その間、いい?」
越前 「・・・わかった。」
本当なら、『と一緒にしたいから、嫌』と言いたかったのだが、の笑顔が(あえて名前は出さないけど、)部活の先輩みたいに、裏のある微笑をつけて頼んだので、断れなった。
「ありがとう。」
そう言った、の微笑は、いつもどおりの優しい笑顔だったので、ひとまず安心した。
「・・・で、侑兄。探すな、って言ったよなぁ?」
しかし、その笑顔は一瞬で消え、忍足と話す時には、先程の裏のある微笑に変わっていた。
忍足 「そやけど、心配で・・・。」
「心配もしんといて、って言ったよなぁ?」
忍足 「でも・・・。」
「そういえば、侑兄。部活は・・・?」
忍足 「図書館行くから休む、って跡部に言うといた。」
「へぇ〜。休む、って言ったんや〜。・・・でも、それ、一般的には、何て言うか、知ってる?」
はまだ、笑ってはいるが、絶対に怒っている。
忍足 「え〜っと・・・。」
跡部 「サボってる、って言うんだよ。」
そう言って、もう1人、お怒りの方が入ってこられた。
忍足 「跡部!なんで、ここに・・・。」
跡部 「あ〜ん?なんで、だと?俺が、部活をサボって妹のいる、学校に行った関西弁の奴を連れ戻しに来たんだよ。」
そう言うと、跡部は忍足を引きずり、図書館から出て行こうとした。
「景兄、ゴメン・・・。部活の時間、減らして・・・。」
跡部 「の所為じゃねぇよ。それに、ちょっとぐらい練習が減ったから、って下手になるわけじゃねぇからな。」
「ありがとう。・・・じゃ、部活頑張って、景兄。」
跡部 「お前も、な。」
なんだか、いい雰囲気の中、跡部は忍足を引きずって、歩いた。
忍足 「自分で歩くって・・・。じゃあな、。早よ、帰ってきてや!」
「わかったから。侑兄、部活サボったら、アカンでー!」
騒がしく、跡部と忍足(←特に、というより、むしろ騒がしかったのはコイツ。)は帰って行った。
越前 「そろそろ、部活行く時間・・・。」
「わっ、ホンマや。今日も、来客は・・・・・・2人来たけど・・・。客じゃないし。0人やったな。」
越前 「・・・・・・。」
「ホント、お騒がせしました。」
越前 「いいけど。・・・そういえば、跡部さんの家からじゃ、ここまで遠いんじゃない?」
越前は、急に話題を変えた。
「ん?・・・うん、ちょっと、ね。」
越前 「なら、俺ん家来れば?」
どうやら、それが言いたかったらしい。
「じゃ、今度家出したときに、でも。」
越前 「また、するんだ・・・。」
「いや、もしもの話。ま、部活頑張りましょう♪」
越前 「おす。」
しかし、結局、越前家にも行くことになるので、あった。
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ようやく、青学メンバー登場です。と言っても、リョーマくんのみですが・・・orz
しかも、青学メンバー全員が出てくるのは、まだあと少し先です。次の次ぐらいですかね。
それから、今回は向日さんが親友を思いやってて、馬鹿さ加減がマシな気がするんです!友達思いな向日さん、本当素敵だと思います。
そして、滝さんが相変わらず・・・。いえ、何もありません。
むしろ、長太郎も良い人すぎると言うか・・・。嘘です。私は何も言ってません。私も命は惜しいので。